===ここから後編です=====
==前編は読みおわりましたか?===









日本人の心の故郷である富士山。
その富士山を舞台として繰り広げられるヒルクライムレースがMt.富士ヒルクライムだ。

2025’富士ヒルクライム~後編~



6月1日(日)00:00
寝れない。
去年と違って雨の心配も無いのに、何故寝れないのか。
廊下の電気が気になるのか?
布団の位置を変えて寝てみよう。


6月1日(日)02:00
ふぅ、何度かウトウトしたけど深い眠りに入れない。少しだけ大便の気配を感じたが深夜の体育館トイレは怖い。
隣の部屋のオジサンを起こして連れ便も考えたが、さすがに怒られるか。
でも、このまま便を我慢して固まって、明日の朝出なかったら・・・と考えてる内にドンドン、便の事が頭から離れなくなってきた。
りょ、亮子ちゃんを起こそうか・・・いや、初レースに向けてしっかり爆睡してる亮子ちゃんを起こすことも出来ない。
行くんだ店長。ここの体育館では誰も事故死は起きてない。きっとトイレの花子さんもいない。

覚悟を決めた店長「ほぉうっっ」
ちょっとの便意ではありえない程の大便をぶっぱなす。

6月1日(日)03:30
さっきまでが嘘の様に深い眠りにつけたようだ。早速、スマホで天気予報を確認するも昨日までの予報どおりに晴れるみたいだ。

店長「亮子ちゃん、おはよう!朝だよ。レースだよ。今日だよ。」
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他の部屋の人達も起きたようで、廊下をあるく音が聞こえている。朝の挨拶に立ち寄りながら朝食と足湯の準備をする。

6月1日(日)04:10

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店長のレース前の朝ごはんメニュー
・超山盛りの御飯
・永谷園梅茶漬けの素x2個
・ファミマの南高梅
・セブンイレブンの銀鮭

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御飯が終わったら、調理室に移動してコーヒーを飲みながら足湯。

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足湯袋に、きき湯を入れて脚の芯をじっくりと温めておく。
ゆっくりと10分くらい浸かりながら、ドリップコーヒーを優雅に楽しむ。
去年はワタワタして心に余裕が無かったので、今年は兎に角 他の人の事は一切気にしないで自分の事だけ。
自分は優雅な朝のひと時を楽しむようにするんだ。

6月1日(日)04:50
足湯を終えたら自転車の準備。

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準備といっても昨日のうちに組み立ては終えており空気を入れるだけ。
習志野青年の家様の協力のお陰で朝のバタバタが本当に抑えれている。

6月1日(日)05:15
着替えてからローラーでアップ予定だったが、外はどんどん天気は良くなっていくし気温も悪くないので、もしかすると半袖短パンジャージで戦えるかもしれない。
ギリギリまでウェアをどうするのか悩むことにしてパジャマのままローラー台アップだ。
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でも、その前に大便を。
大量の梅茶漬けを食べたからなのか2時頃にアレほどしたのに同じような量をぶっぱなす。
少しでも軽くしようと体中の細胞からも応援してくれてるような気にさえなってくる。


足湯が冷めたら熱湯の追い湯をする準備をして、他の人も使えるようにラインで伝えて、ローラー台でアップを始めると足湯の効果もあるのか10分もしないで汗が噴き出してくる。

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こうなってくると、暑い!もう半袖短パンで良い。

6月1日(日)05:45
ローラー台のアップを終えたら、但野さんにローラー台を渡して着替えに移る。
その前にローラー台で30分回した効果なのか、さらに3回目の大便タイムに入る。
1回目、2回目程では無いが、御飯茶碗一杯分は出ただろうか。怖い。いったい俺の体から何が出てるんだろう。

会場への出発は6時30分なので、まだまだ時間に余裕がある。

飯土井さん「店長~大変だよ~。高橋さんグローブ忘れて来たって」

高橋さん「ははは、軍手でも良いんですけどね」

若松さん、但野さんと予備グローブがあるということで、比較的サイズが同じであろう但野さんにお借りする事で解決。

店長「ははは、ははは」

亮子ちゃん「そろそろTOPスピード飲むんでしょ?」
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そうだそうだ、スズメバチのパワーを取り込んでおかないと。初レースの亮子ちゃんも気合入ってるようだ。
朝ごはんも、梅茶漬け、もっちりチョコパン、バナナを普通に食べておきながら、あんまり量を食べれないんだよねとよくわからない事を言っている。

第3スタートの岩崎さんは若干早く会場に向かってしまったが、残り12名でワラガイキャッツの円陣を組む。

店長「じゃ~いよいよ本番です。自分の目標を達成するよう頑張りましょう。ワラガイーキャッツ」

メンバー「にゃー」

店長「キャッツ」

メンバー「にゃー」

店長「キャッツ」

全員「にゃ===!」

青年の家を出発すると、道路は参加者でだいぶ渋滞気味になっている去年より1時間くらい遅いと、こんな風になっちゃうんだ~ってのも面白い。
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会場入り口までくると、昨日の受付時の人数なんか話にならないくらい、人だらけになっている。
上下のウインドブレーカーを脱ぎ、由美子さんにお願いしてた上着の預かりを早々にお願いしてトイレに行こうと思ったら
スタッフ「第3スタートは出発してます。第4スタートの人は整列をお願いします」

とアナウンスが始まっているじゃないか。
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但野さんと熊川さん、渡部さんと、どうします?なんて言ってる内にドンドン進んでいってしまう。
いやいやトイレ行かないままスタートは不味い。

店長「すいませ~ん。スタッフさん、この列で動いたまま途中トイレいけますか?」

スタッフ「大丈夫ですよ~。その先まで行けば柵から出れる場所あるので。」

店長「危なかったっすね。そこ広い場所あるから待機して交換でトイレいきましょう」

トイレに行ってると小野さんも合流。

第5スタートのメンバー達も整列しながら、スタート前の緊張を楽しんでいた。
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千尋さん「最大心拍170なのに、もう150になっちゃった。見たくないからサイコン消しておく」
※「これで、みんなで大笑いしたから緊張がほぐれたんだ」亮子ちゃん談

列に並んでいると隣の列が出発して僕達は次当たりでスタートかなぁ~と思ってるとアレヨアレヨと前方の人達が進みだしてスタートだ。
ただ、スタートといっても、まだパレードランで1km先に正式なスタートラインがある。

スタート地点と同時にガーミンのスイッチを押す。
但野さんには3.5~3.6くらいのゆっくりペースで後半伸ばして行こうと作戦を伝えていたが、料金所の時点で自分の想定しているタイム表(ステムに貼ってある)を見ると10秒くらい遅い。
※そもそもで自転車屋の店長なんだから、自分でパワーメーターを準備しろよって話なんですけどね。

店長「但野さん、もうちょっと上げていこう」

但野さん「あいよっ」

1km経過で13秒遅いままだ。これだと後半にパワーを残せてもシルバーリングを取る土俵に立つことが出来ない。
そのタイミングで、理想的な速度で上がっていく、凄い脹脛の方が横を通り抜けていった。
これだ!
店長「ごめん。これについて行く」


その方は、僕が≪こうありたい≫と思う走りを続けていく。
ある程度の集団がスピードに乗せれる時には後方位置について、登坂区間に入って少しでも遅いと感じたら単独で抜いていく。
僕はその後ろにコバンザメの様に張り付いている。

タイム自体も13秒遅れたままであるが、理想的なシルバー速度。
今回は素直にフロントインナーにして前を走る人と同じギア比を意識してみる。
去年足攣りした場所も問題無く通過していったが13km地点あたりで、とうとう離されて行ってしまった。
絶対に着いて行かなくては駄目なんだと頭では判っていても、体が追いつかない。

スピードジェルを飲もうと片手をハンドルから離そうとすると両手に痺れが走る。
≪着いて行かなくちゃ≫と夢中になるあまり相当ハンドルに力を入れてたのだろう。
背中のポケットに手を回そうとすると右手が攣りそうになる。

ジェルの先端を口で千切り、半分くらい一気に飲んで残りはバックポケットにしまう。
後で飲むつもりは無いのだが、なんとなく半分で十分だと、この時は思った。

今まで目標にしてた人がいなくなって、単独走に入るとペースが判らない。
足が合う人を探していくと、今の僕にとってちょっと早い人に出会えた。

ステムに貼ってあるタイム表を見ると、シルバーをどうこう言えるタイムではない。
計算する余裕もなく、なんとなく去年より遅いタイムじゃないだろうかと焦ってくる。

20km地点のカーブに差し掛かるあたりで

但野さん「あと4分。店長いくよっ」

と、右側から颯爽と追い越していく。くそっ、とうとう追い抜かれてしまった。
この場所からどう考えても4分でゴールできる訳がない。
そんな事は但野さんだって判ってるけど振り絞ってるんだ。
着いていかなきゃ。

でも、少しづつ遠ざかっていく。但野さんには余力がたっぷりあるように見えて気力を削がれていく。

21.4km地点の奥庭P看板が見えてきた。
但野さんが後ろを振り返った気がする。

きっと≪この後の平坦区間を一緒に行こうぜ!一緒に走るって言ってたよな≫という合図なのかもしれない。
ここが頑張りどころだ。
少しづつ距離を縮めていき平坦区間手前で追いつけた。

店長「あっくん、行くぞっ!」

体中が軋むが時速30km以上で但野さんを牽いて走り出す。
去年出来なかったこれがやりたかった。
もう限界は超えてるのだろう涎と鼻水、涙が出てくる(決して感動とかじゃないやつ)

2つ目のトンネル入り口あたりで、但野さんに抜かれてしまう。
くっ、ちぎれる。でもギリギリまで着いていきたい。時速40km近くで追いかける

3つ目のトンネルを出たあたりで視界が広がった。
残り数百メートル。鈴宇峠を思い出すんだ!但野さんを抜き返す。

そしてゴール。
ダンシングしたのか、それともシッティングでゴールしたのか、それすら覚えてないが全てを出し切った。
余りの感動に嗚咽が止まらない。1人泣きながら荷物広場方向へ歩くと先にスタートした岩崎さん、但野さんに声掛けられ号泣が加速する。

シルバーリングには届かなかったけど、2年間の思いを全てぶつける事ができた。 
タイム


下山用荷物を受け取り着替えたら亮子ちゃんを待つ。
ホッカイロなども準備しておいたが標高が高い為か、全然暖かくならない。
20分くらいであればゴール後のテンションなどで寒さは感じないのだが、40分近くなるとインナーウェア、0℃対応ジャケット、ダウンジャケット、冬用ジャージ、上下レインウェア、0℃グローブでギリギリ我慢できるレベル。

待ってる間、いろんな参加者の姿を見ると、がっくりとしてゴールする人、狂喜している人、泣いてる人、仲間たちと歌を歌いだしてる人など、本当に様々な人間模様が見れて面白い。そんな僕もさっきまで号泣してたんだけどね。

僕達の仲間たちも続々とゴールしていく。
びっくりしたのが昨年よりも6kg体重が増えて今年になって3回しか練習してないと言ってた高橋さんが去年よりも早いタイムでゴールしちゃってる。
正直2時間オーバーだろうと思っていたが【凄い】の一言。なんか高橋さんには練習は必要ないんだろうなって思う。
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2時間30分を目標にしたいと、ずっと言ってた亮子ちゃんも2時間6分と想像以上のペースでゴール。
始めての自転車レースでずっ~と緊張してたから興奮が止まらないようだ。先に買っておいた富士山メロンパンでお互いの頑張りを称えあう。

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下山中も涙がとまらない。去年もそうだったが富士ヒルへの思い入れが強ければ強いほど、泣いちゃうんだろうな。
今回は亮子ちゃんを待ってからの下山となったので会場周辺の人の多さは凄い事になってた。
フィニッシャーリングを受け取り、振る舞いの≪吉田うどん≫を食べて、100円のドライゼロアイスを飲む。
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当初の予定だと、レース後は≪しのびの里≫に行く事にしていたが、フィニッシャーリング受け取りの大行列や、道路の大渋滞などで時間が遅くなってしまい早々にレイク忍野にチェックイン。
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そして忍野八海の観光とお土産購入。
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夕食はそれぞれの健闘を称えあいながら かんぱ~~い!
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由美子さんに教えてもらって部屋に行くと寝始めていた若松オヤビン。
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6月2日(月)06:45
翌日は7時00分からの朝食までゆっくりと睡眠をとる。
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但野さんは、昔話盛りの御飯茶碗にモリモリを2杯。
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チェックアウト準備したら、目的となるお土産屋の一つのおしの製麺所へ。
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気さくな女将さんと話してたら

女将さん「今から打ち立てを作ってあげるから1時間後に来なよ」

店長「うわ~!ありがとうございます。それじゃ、昨日の場所で最後の御土産買いしてから戻って来ましょう」

生蕎麦、生ひやむぎを購入したらサービスが凄い。
1箱開けて丸ごと新聞紙で包む。これサービスだから自分達で食べなさいだって。

レイク忍野の駐車場に戻り、女将さん、若女将さん達に挨拶したら解散の挨拶。
もう人生最後の富士吉田なんだなと思うと寂しくてしょうがない。

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こうして、
僕達の富士ヒルクライムという夢と挑戦は大満足で終わることができました。
僕達にはまだまだ新しい冒険の旅と出会いが待っているんだ。
さぁ、次の冒険へ出かけよう!



おしまい。


最後に。
生まれも、生き方も、性別も、
考え方も、価値観も全く異なる人達が「ワラガイと一緒に富士ヒルクライムを遊んでやる」と集まってくれた皆さんに、宇宙開闢レベルでの感謝しております。
僕は、皆に振り回されながら「もうぉ、しょうがないな」というのが非常に心地よく。凄く居心地が良い。
これからも何も変わらず、何も変える事無く≪自由な皆さん≫と≪小言を言う店長≫の図式のまま、過ごしていけたら幸せです
今回も本当にありがとうございました。



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需要があれば、動画をアップします。
スマホで見てる方は拍手ボタンを押してくれれば嬉しいです。
拍手ボタン増えてました。ありがとうございます。でもあとちょっと、もうちょっとだけパワーが足りないんです。
僕に動画をアップする勇気をください!
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